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医療法人 グランセル
医療相談室
◆患者様よりいただいたご意見、ご要望等と当院の対応等を掲載しています。なお、患者様からのご意見、ご要望等は原則原文のまま掲載させていただきます。
Q:室内温度計の新設について H24.4.1
H24.2月下旬〜3月上旬に、当院3Fの2人部屋に入院し治療を受けた患者です。そのせつは大変お世話様になりました。ところで、一つご希望を申し上げます。
入院した部屋には、室内温度計が設置されていませんでした。他の部屋までは、勝手に入ることも見ることも出来ませんので不明ですが、4Fの一室でもありませんでした。
3/11日の原発事故以来、企業〜個人を問わず、電力会社・国から節電に取り組むよう、要請を受けているのが昨今だと思います。小生の入院した部屋には、上記のような温度計が無く、今寒いのか・熱いのかが解らずに、体感温度の認識でエアコンのスイッチを、ON・OFと切り替えていたのが実態でした。もしも、室内温度計が設置されていれば、客観的に温度管理が、入院患者自身でスムースに行なえて、節電協力がより効率的に実施されたのではないだろうかと・・・・・残念な気持ちでした。
今や、原発が一基も稼働していないような状況下において、今年度の夏の電力需要バランスは、非常に憂慮すべき事態となりそうな気がします。
患者自身が自発的に節電協力をしていくには、各部屋に室内温度計を設置されますように希望致します。(小生の自宅では、エアコンは年中使用しておりません。)
A:貴重なご意見をありがとうございました。
本来、私達は快適な環境づくりをして、患者様には治療に専念して頂けるように配慮しなければなりませんが、患者様への配慮不足ならびに節電意識の甘さを改めて考えさせていただきました。
今回、患者様のご意見を参考に温湿度計を病室に導入することと致しました。これにより、より快適な入院生活が送れるように温度管理を行っていくと同時に節電するように努力致します。(H24.5.17)
医療安全管理指針
医療法人グランセル 佐藤実病院
1.基本理念
この指針は、医療事故の防止・再発防止対策ならびに発生時の適切な対応など、本院における医療安全体制を確立し、適切かつ安全で質の高い医療サービスの提供を図ることを目的とする。
また、本指針はこのような考え方のもとに、それぞれの医療従事者の個人レベルでの事故対策と、医療施設全体の組織的な事故防止対策の二つの対策を押し進めることによって、医療事故の発生を未然に防ぎ、患者が安心して安全な医療を受けられる環境を整えることを目標とする。本院においては病院長のリーダーシップのもと、全職員がそれぞれの立場からこの問題に取り組み、患者の安全を確保しつつ必要な医療を提供していくものとし、全職員の積極的な取り組みを要請する。
不幸にして発生した重大事例については、診療科の壁を越えて病院の総力をあげて治療に臨むこととする。事故後の対応については、担当医をはじめとする診療担当者の真摯な対応が最も重要であるが、紛争解決の社会的な側面も重要であり、裁判外紛争処理(ADR)の活用や医療メディエーターの起用などを考慮していく。
2.用語の定義
本指針で使用する主な用語の定義は以下のとおりとする。
1)インシデント:患者の診療やケアにおいて、本来あるべき姿から外れた行為や事態の発生。インシデントには患者に障害の発生しなかったものも含む。2)アクシデント:インシデントのうち、その影響に対処するために濃厚な処置や治療を要したもの、患者に永続的な障害や後遺症が残ったもの、患者が死亡したもの。
3)医療事故:医療法で定めるところの、当院に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、または起因すると思われる死亡または死産であって、当院の管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったもの、医療過誤の有無、アクシデントか否かは問わない。
4)医療過誤:民法または刑法で定めるところの、医療行為又は管理上の過失があるもの、医療事故か否かは問わない。患者に障害が発生しなかったものも含む。
5)合併症等:臨床医学で用いられるところの、医療行為に際して二次的に発生し、患者に悪影響を及ぼす事象。なお合併症には予期できるものと予期できないものとがある。合併症以外に、副作用、併発症、偶発症などの用語も用いられるが、これらを合わせて合併症等という。
6)本院
医療法人グランセル 佐藤実病院。
7)職員
本院に勤務する医師、看護師、薬剤師、検査技師、事務職員等あらゆる職種を 含み、常勤、非常勤の別を問わない。
8)責任者および上司
当該職員の直上で管理的立場にある者。
3.医療安全に関する基本的な考え方
1)医療事故の現状認識
日本における医療事故紛争は、患者の権利意識の高揚や医療の高度化・複雑化等により、増加傾向であり、当院においても、患者の安全確保の観点から医療事故の防止・再発防止対策を推進することは極めて重要な取り組みである。
2)医療安全に関する基本姿勢
医療事故を起こした個人の責任を追及するのではなく、医療事故を発生させた安全管理システムの不備や不十分な点に注目し、その根本原因を究明し、これを改善していくことを基本とする。また、患者に信頼される医療サービスの提供と医療の質の向上を求めていくことを本院の医療安全の基本姿勢とする。
医療安全活動の必要性・重要性を全部署・全職員に周知徹底し、院内共通の課題として積極的な取り組みを行う。
4.医療安全管理体制の構築
本院における医療事故防止ならびに事故発生時の緊急対応について、院内全体が迅速に機能し、一元的で効率的な安全管理体制を構築することで、安全かつ適切な医療サービスの提供を図る。また、本院における医療安全管理と患者の安全確保をするために、本指針に基づき本院に以下の組織等を設置する。
1)医療安全管理委員会
@設置目的
院内における医療安全管理体制の確保および推進を図るため、医療安全管理
委員会を設置する。
A医療安全管理委員会の委員の配置
ア 委員長は病院長とする。
イ 病院長、事務長、看護師長、薬剤師、検査技師、介護士等により構成
され、病院長が任命する。
ウ 専任の医療安全管理者が構成員に含まれていること。
エ 医療安全に関する必要な知識を有していること。
オ 委員は必要に応じて適宜変更可とする。
B業務
ア 医療安全対策の検討および推進を行う。
イ アクシデント・インシデント等の情報収集を行う。
ウ リスクマネージャー会議からの提案事項を検討し、医療安全管理部に提案、報告する。
エ 医療安全対策のための職員に対する啓発、教育、広報を行う。
オ その他医療安全の推進を行う。
C医療安全管理委員会の開催
医療安全管理委員会は、原則毎月1回開催する。また、委員長の判断により臨時に医療安全管理委員会を開催することができる。医療安全管理委員会を開催したときは、速やかに検討の要点をまとめた議事の概要を作成し、2年間これを保管する。
D参考人の招集
医療安全管理委員会が必要と認めるときは、関係職員ならびに関係者の出席を求め、意見を聴取することができる。
2)医療安全管理部
@設置目的
組織横断的に院内の医療安全管理を担う部門として、医療安全管理部を設置
する。
A医療安全管理部の部員の配置
ア 部長は病院長が兼務する。
イ 専任の医療安全管理者が構成員に含まれている。
ウ 看護師、薬剤師、検査技師、事務職員等で構成され、病院長が任命する。
エ 医療安全に関する必要な知識を有していること。
B業務
ア 医療安全管理委員会およびリスクマネージャー会議で用いられる資料および議事録の作成、保存その他庶務を行う。
イ 院内を巡回し、本指針およびマニュアルの整備、遵守、改善策の実施、インシデント・アクシデントレポートが適正になされていることの確認を行う。
また、原則週に1回カンファレンスを行い必要に応じて適切な指導を行う。
ウ 患者や家族への説明など有害事象(医療事故)発生時の対応状況について確認および必要な指導を行う。
エ 有害事象(医療事故)の原因究明を適切に実施するための協力支援および必要な指導を行う。
オ 医療安全管理に関する患者や家族からの相談に応じ連絡調整を行う。
カ インシデント・アクシデントレポートの集計および分析を行う。(報告者への具体的な事情聴取を含む)
キ 複数の部署にまたがるシステム上の問題または各部署では分析が難しい
問題を分析し、改善策の立案、実施の徹底を図る。
ク 医療安全管理に関する職員研修の企画および運営を行う。
ケ 医療安全管理に関する情報の収集および提供を行う。
コ その他医療安全管理の推進を行う。
3)医療安全管理者
@設置目的
医療安全管理部における医療安全管理の実務を行う専任および兼任の者を置く。
A業務
ア 医療安全管理部の業務に関する企画立案および評価を行う。
イ 医療安全管理に関する問題点の把握、分析、対策の立案、実施、評価等を行う。
ウ 院内を巡回し、本指針およびマニュアルの整備、遵守、改善策の実施、インシデント・アクシデントレポートが適正になされていることの確認を行う。
エ 医療安全管理に関する患者や家族からの相談に応じ連絡調整を行う。
オ 医療安全管理に関する職員研修の企画等を行う。
カ 職員の医療安全管理に関する意識の向上、指導等を行う。
キ 病院の各部門・部署間の連携を図るための調整を行う。
ク その他医療安全管理の業務を行う。
4)院内感染管理責任者
@設置目的
医療行為における患者・職員への感染症の伝播リスクを最小化するとの視点に立ち「標準予防策」の視点に基づいた医療行為を実践する。あわせて感染経路予防策を実施するために、専任の院内感染管理責任者を置く。
A業務
ア MRSA、結核、疥癬、インフルエンザその他院内感染症の発生状況に関す
る情報の収集およびその対策の立案と実施。
イ 院内感染防止対策の実施と監視および指導。
ウ 感染症に係る情報の収集。
エ 院内感染防止対策に関する職員研修の企画等を行う。
オ その他院内感染における重要事項に関する事。
カ 院内感染防止対策委員会を設置する。
5)リスクマネージャー
@設置目的
病院の診療部門、看護部門、事務部門のそれぞれに、医療安全管理部の活動に協力し、医療安全管理対策を推進する者として、リスクマネージャーを置く。
A業務
ア インシデント・アクシデントレポートの積極的な提出を促進する。
イ 提出されたインシデント・アクシデントレポートの内容をリスクマネージャー会議において検討し、医療安全管理委員会へ報告を行う。
ウ 有害事象(医療事故)が発生したときには、当事者からの報告に基づき、
直ちに内容を医療安全管理部・上司等に報告する。
エ 日常業務を通じて医療安全管理に関する問題を提起し解決を図る。
オ 担当部署では解決できない問題を医療安全管理部に報告し、協同で解決を図る。
カ 担当部署内で解決した問題をリスクマネージャー会議に報告し、全院的な問題への関連として提案を行う。
キ 医療安全管理に関する職員研修および啓発を促進する。
ク その他医療安全管理部の活動に協力し、部署ごとの医療安全管理対策を推進する。
6)リスクマネージャー会議
@設置目的
医療安全管理委員会の指示に従い、医療安全管理委員会を補佐するものとして、リスクマネージャーで構成するリスクマネージャー会議を設置する。
A内容
ア 提出されたインシデント・アクシデントレポートの原因を分析し、改善策の立案、実施および評価を行い医療安全管理委員会に提案する。
イ 各部署間の問題点をお互いに報告、検討し、解決策を医療安全管理委員会に提案する。
ウ 各部署に共通な医療安全管理に関する院内の取り決めの制定ならびに本指針およびリスクマネジメントマニュアルの改正等の検討を行う。
エ 医療安全管理対策に関する情報交換を行う。
オ その他医療安全管理委員会の指示および当該会議の議決に基づき、下部部会での協議や調査協力など医療安全管理対策の推進を行う。
5.医療安全管理のための院内報告制度
1)医療事故の防止・再発防止のために、医療事故ならびにアクシデント・インシデントの報告を制度化し、その収集を促進する。
2)医療事故ならびにアクシデント・インシデント事例を体験あるいは発見した医療従事者は、その概要を報告書に記載し、できるだけ速やかに所属部署の責任者に報告する。
3)所属部署の責任者は、提出された報告書を速やかに医療安全管理委員会に報告 する。
4)自発的報告がなされるよう、責任者は報告者名を省略して報告することができる。
5)医療事故ならびにアクシデント・インシデント報告書を提出した者あるいは体験した者に対し、報告書提出を理由に不利益な処分は行わない。
6)提出された報告書の分析・評価に基づき、適切な事故予防策ならびに再発防止策を立案・実施する。
<補足>
医療安全活動資料は、いずれも当院内部の医療安全のものだけであり、医療安全の目的で連携する院外調査委員会や第三者機関の収集情報・調査・議論等の一切も同様に当院内部の医療安全のためだけのものとなり、開設者、管理者、医療安全管理委員会、委員、関係職員その他すべての当院の職員は、患者、家族関係者、裁判所、行政機関、警察と報道機関も含め当院の外部に開示することが出来ない。患者、家族関係者は、事故調査報告書など医療安全活動資料の一部を特に開示された場合といえども、これを裁判所に提示して民事訴訟の証拠としてはならない。
6.医療事故発生時の具体的な対応
1)患者の安全
@患者の安全確保を最優先し、応急処置に全力を尽くす。
患者に発生した障害を最小限にとどめるために、患者の安全確保を最優先して、医師、看護師、他のコ・メディカルの連携のもと、病院の総力をあげて必要な治療を行う。
A他の医師の応援を求める。
事故発生部署の職員だけでは十分な緊急処置が行われないこともあるため、必要に応じて他の診療科や専門医の応援を求める。
B他院への転送が必要な場合は適時転送する。
<補足>
日頃から専門医等との連絡体制を整備しておくようにする。
事故に関わる証拠物品を確実に保管しておく。とくに、誤投薬・誤注射事故等の場合は血液の採取保管や薬剤、用具類の保管を確実にしておく。
2)アクシデントの報告
@アクシデント報告の対象
ア 当該行為によって患者が死亡または死亡に至る可能性がある場合。
イ 当該行為によって患者に重大もしくは不可逆的傷害を与え、または与える可能性がある場合。
ウ その患者等からクレームを受けた場合や医事紛争に発展する可能性がある場合。
A病院における報告経路
ア アクシデント発生時には、直ちに上司に報告する。
上司は医療上必要な指示を与え、速やかに病院長に報告する。
イ 患者の生死に関わる重大かつ緊急な場合は、上記経路を省略して病院長に報告することができる。
B病院における報告方法
報告は、アクシデント報告書に記載し、速やかに行う。ただし、緊急を要する
場合は、口頭で報告後、速やかにアクシデント報告書を作成し、報告する。
3) 患者と家族への説明
@事故発生直後の家族等への連絡
ア 事故の発生を連絡する。
イ 患者の家族や近親者の方が施設内に不在の場合は、直ちに自宅等の連絡先に連絡する。
ウ 患者、家族などの連絡相手や連絡日時を記録する。
<補足>
家族の連絡先は、可能な限り2ヶ所以上(携帯電話番号を含む)を入院時に確認しておくことが望まれる。
不在等の理由で連絡ができなかった場合は、連絡日時とその状況を記録しておく。
A事故発生直後における患者、家族等への説明
ア 患者、家族等への説明は、原則、管理職員(説明担当職員)を含む複数の人数で対応し、必要に応じて担当医や上席医等が同席して対応する。
イ 患者、家族等に対しては、最善を尽くし、誠心誠意治療に専念するとともに事故の事実経過について誠意をもって説明する。
ウ 説明者、説明を受けた人、説明時間、説明内容、質問・回答等を記録に残す。
<補足>
説明時点で事故原因や予後等が明らかな場合は、カルテ等の記録に基づき、事故発生の事実経過を正確にわかりやすく説明するようにする。
事故原因や予後等が不確定な場合は、今後、十分調査を行ったうえ、返事をする旨を伝える。
過失が極めて明らかな場合は、誠意をもって説明し、謝罪する。
記録は説明後、速やかに事実を客観的かつ正確に記載するようにする。
4)事実調査と病院としての統一見解
@事故等発生時には、医療安全管理委員会が別に定める発生時の対応方針に基づき、医療安全管理委員会の下に院内事故調査委員会を組織して事故調査を行い、事故調査報告書を作成するなどして適切に対処する。なお、この事故調査は医療安全の確保を目的とし、組織および個人の責任追及の結果を招いてはならない。
A事実経過の整理、確認と病院としての事実調査
ア できるだけ早い時期に事実を詳細に調査・検討し、事実の原因や過失の有無等について病院としての統一見解をまとめる。
イ 調査した事実および病院としての統一見解は文書として記録する。
ウ カルテや看護記録、X線フィルム等は確実に保管する。
<補足>
事実調査や病院としての統一見解を検討する際には、いたずらに事故関与者の責任を追及することのないように配慮し、事実関係を明らかにすることにより事故の発生原因を究明することに努める。
B事故調査報告については、医療法施行規則第一条の10の4第2項注書に従い医療従事者(職員)等が、他の情報との照合による識別を含め、識別できないように加工しなければならない。
C事実調査実施以降の患者、家族等への説明
ア できるだけ早い段階で患者、家族等への説明機会を設定する。
イ 説明は複数で対応し、記録に基づき、誠意をもってわかりやすく説明する。
ウ 説明者以外に記録係を決め、正確な記録を残す。
<補足>
患者、家族等は一刻も早く、事実を知りたいと願っているため、可能な限り、早い段階で患者側への事実関係の説明機会を設けることが重要であるが、病院としての統一見解を整理してから遅滞なく行うことが大切である。
5)事故の再発防止
医療事故発生後、できるだけ早い段階で、医療安全管理委員会等において、事故の再発防止について検討し、再発防止策を策定し、職員全員に徹底する。
7.安全管理のための指針・マニュアルの整備
7−1安全管理マニュアル等
安全管理のため、本院において以下の指針・マニュアル等(以下「マニュアル等」という)を整備する。
@院内感染対策指針
A医薬品安全使用マニュアル
B輸血マニュアル
C褥瘡対策マニュアル
Dその他
7−2安全管理マニュアル等の作成と見直し
@〜Dのマニュアル等はそれぞれの委員会および責任者が作成し保管する。
8.院内における医療安全管理活動の周知徹底
1)職員研修の定期開催
医療安全管理に関する基本的な指針や医療事故予防・再発防止の具体的な対策を職員に周知徹底する。また、医療事故発生時の職員召集など緊急事態対応への習熟を目的にした職員研修・訓練を計画し定期的に開催する。(年2回)新規採用者がある場合は、その都度「医療安全研修」を実施する。
9.医療従事者と患者との間の情報共有に関する基本方針
医療従事者と患者および患者家族との間での情報共有は、医療安全推進の観点からも紛争予防の観点からも重要である。
そのため、十分な情報共有がなされるように診療録等を活用し、説明記録が残るよう配慮する。
10.患者からの相談への対応に関する基本方針
患者および患者家族からの相談については、医療相談室を窓口とする。 しかし、医療内容に関わる問題については、担当者を決め、誠実に対応し、担当者は必要に応じ主治医、担当看護師等へ内容を報告する。
また、医療紛争に関連する内容については、院内メディエーション等の対応を行い、必要な場合には院外のADR(Alternative Dispute
Resolution:裁判外紛争処理)等の利用も検討する。
11.その他
11−1 本指針の周知
本指針の内容については、病院長、医療安全管理委員会等を通じて、全職員に周知徹底する。
11−2 本指針の見直し、改正
@医療安全管理委員会は、少なくとも毎年1回以上、本指針の見直しを議事として取り上げ検討するものとする。
A本指針の改正は、医療安全管理委員会の決定により行う。
11−3 本指針の閲覧
本指針の内容を含め、職員と患者との情報の共有に努めるとともに、患者およびその家族から閲覧の求めがあった場合には、これに応じるものとする。また、本指針についての照会および閲覧の窓口は医療安全管理部とする。一般には病院ホームページで閲覧できる。
附則
(実施期日)
医療法人グランセル 佐藤実病院
制定 平成14年8月1日
改定 平成19年11月1日
改定 平成22年4月1日
改定 平成22年5月1日
改定 平成27年10月1日
改定 令和元年11月1日
改定 令和元年12月25日
院内感染対策指針
院 内 感 染 対 策 指 針
平成29年11月6日改定
医療法人グランセル
佐藤実病院
I.総則
1.基本理念
医療従事者は、患者の安全を確保する為不断の努力が求められている。医療関連感染の発生を未然に防止することと、ひとたび発生した感染症が拡大しないように可及的速やかに制圧、終息を図る事は医療機関の義務である。医療法人グランセル 佐藤実病院においては、本指針により院内感染対策を行う。
2.用語の定義
1)院内感染
院内環境下で感染した全ての感染症を院内感染といい、院内で感染した感染症は、病院外で発症しても院内感染という。逆に、病院内で発症しても、病院外(市井)で感染した感染症は、院内感染ではなく、市井感染という。
2)院内感染の対象者
院内感染の対象者は、入院患者、外来患者の別を問わず、見舞い人、訪問者、医師、看護師、医療従事者、その他職員、さらには院外関連企業の職員などを含む。
3.策定と変更
院内感染対策指針とマニュアルは院内感染防止対策委員会の議を得て策定したものである院内感染防止対策委員会の議を得て適宜変更する。変更に関しては最新の科学的根拠に基づかなければならない。
4.職員の周知と遵守率向上
各対策は全職員の協力のもとに、遵守率を高めなければならない。
1)感染制御チームは、現場の職員が自主的に各対策を実施するように誘導する。
2)感染制御チームは、現場の職員を教育啓発し、自ら進んで実践していくように動気付けをする。
3)就寝時初期、定期的、必要に応じて臨時教育を通して、全職員の感染対策に関する知識を高め、重要性を自覚するよう導く。
4)定期的にラウンドして現場における効果的介入を試みる。
5)定期的に手指衛生や各種の感染対策の遵守状況につき監査するとともに、擦式消毒薬の使用量を調査してその結果をフィードバックする。
5.院内感染対策指針の閲覧
職員は患者との情報の共有に努め、患者及びその家族などから本指針の閲覧の求めがあった場合には、これに応じるものとする。なお指針の照会には感染制御チームが対応する。
U.院内感染対策に関する管理体制
院長が積極的に感染対策に関わり、院内感染防止対策委員会が中心となって全ての職員に対して組織的な対応と教育・啓発活動をする。院内感染防止対策委員会は院長の諮問委員会であり、検討した諮問事例は院長に答申され、運営会議での検討を得て日常業務化する。当院における院内感染防止を推進するために、以下の委員会及び組織を設置する(目次2ページ参照)
1 .院内感染防止対策委員会
専門職代表を構成委員として以下の通り組織する。また感染防止対策加算2の施設基準に基づく構成員である。
院長 事務長 看護師長 薬局長 診療部主任 臨床検査技師 診療録管理者 介護主任 地域包括病棟主任 療養病棟主任
@病床数が300床未満の医療機関であることを標準とする
A専任の院内感染管理者が配置されており、感染防止に係る部門を設置していること。
B感染症対策に3年以上の経験を有する専任の常勤医師、5年以上幹線管理に従事した経験を有する専任の看護師(医師、看護師とも専任で差し支えない)3年以上の病院勤務を持つ感染防止対策に関わる専任の薬剤師、3年以上の病院勤務経験を持つ臨床検査技師からなる感染制御チームを組織し、感染防止に係る日常業務を行うこと。
C年に4回以上感染防止対策加算1を算定する医療機関が開始する感染防止対策に関するカンファレンスに参加していること
2 .感染制御チーム(ICT)の業務内容
@院内ラウンドに関すること
ア 1週間に1回、定期的に院内を巡回し、院内感染事例の把握を行うととともに、院内感染防止対策の実施状況の把握・指導を行うこと。
イ 院内感染事例、院内感染の発生率に関するサーベイランス等の情報を分析、評価し、効率的な感染対策を実行すること
ウ 院内感染の増加が確認された場合には、病棟ラウンドの所見及びサーベイランスデータ等を基に改善策を講じること
エ 巡回、院内感染に関する情報を記録に残すこと
A抗菌薬の適正使用に関すること
ア 微生物検査を適宜利用し、抗菌薬の適正使用を推進すること。
イ 抗MRSA薬および広域抗菌薬等の使用に際して届出制をとり、投与量、投与期間の把握を行い、臨床上問題となると判断した場合には投与方法の適正化を図ること。
B職員研修に関すること
ア 職員を対象として、年2回以上、定期的に院内感染対策に関する研修を行うこと
イ アの研修について、職員1名あたり年2回の受講を確認すること
C院内感染マニュアルに関すること
ア 最新のエビデンスに基づき、当院の事情に合わせた標準予防策・感染経路予防策、洗浄・消毒・滅菌、抗菌薬適正使用の内容を盛り込んだマニュアルを作成し、各部署に配布すること。
イ マニュアルは半年に1回は見直し、改定を行うこと
ウ 職員がマニュアルを遵守していることを院内ラウンド時に確認すること
D地域連携に関すること
ア 感染防止対策加算1に係る届け出を行った医療機関と合同で年4回以上、定期的に院内感染対策に関するカンファレンスを行い、その内容を記録すること。
イ 感染防止対策加算1を算定する医療機関へ、必要時に院内感染対策に関する相談等をすること。
E感染制御チーム(ICT)構成員間の情報共有を図るため、定期的にカンファレンスを開催する。
V院内感染に関わる従事者に対する研修
1)入職時の初期研修は、ICT、あるいはそれにかわる十分な実務経験を有する指導者が適切に行う
2)継続的研修は、年2回開催する。また必要に応じて、臨時の研修を行う。これらは職種横断的に開催する。学会、研究会、講習会など、施設外研修を適宜施設内研修に代えることも可とする。
3)学会、研究会、講習会など、施設外研修を受けたものの伝達講習を、適宜施設内研修に代えることも可とする。
4)ラウンドなどの個別研修あるいは個別の現場介入を、可能な形で行う
5)これらの諸研修の開催結果、あるいは、施設外研修の参加実績(受講日時、出席者、研修項目)を記録保存する。
W感染症の発生時の対応と発生状況の報告
W-1サーベイランス
日常的に当院における感染症の発生状況を把握するシステムとして、対象限定サーベイランスを必要に応じて実施し、その結果を感染対策に生かす。
1)カテーテル関連血流感染、手術部位感染、人工呼吸器関連肺炎、尿路感染、その他の対象限定サーベイランスを可能な範囲で実施する。
2)サーベイランスにおける診断基準は、アメリカ合衆国の方法改訂3版、サーベイランスのためのCDCガイドラインに準拠する。
W-2アウトブレイクあるいは異常発生
アウトブレイクあるいは異常発生は、迅速に特定し、対応する。
1)施設内の各領域別の微生物の分離率ならびに感染症の発生動向から、医療関連感染のアウトブレイクあるいは異常発生をいち早く特定し、制圧の初動体制を含めて迅速な対応がなされるよう、感染に関わる情報管理を適切に行う。
2)臨床微生物検査では、業務としてICTおよび臨床側へフィードバックする。
3)細菌検査などを外注している場合は、外注業者と緊密な連絡を維持する。
4)必要に応じて地域支援ネットワーク、日本環境感染学会認定教育病院を活用し、外部よりの協力と支援を要請する。日本感染症学会施設内感染対策相談窓口」へのファックス相談を活用する。
X院内感染対策推進方策等
X-1手指衛生
手指衛生は、感染対策の基本であるので、これを遵守する。
1)手指衛生の重要性を認識して、遵守率が高くなるような教育、介入を行う。
2)手洗い、あるいは、手指消毒のための設備/備品を整備し、患者ケアの前後には必ず手指衛生を遵守する。
3)手指消毒は、手指消毒用アルコール製剤による擦式消毒、もしくは、石鹸あるいは抗菌性石鹸(クロルヘキシジン・スクラブ剤・ポピドンヨード・スクラブ剤等)と流水による手洗いを基本とし、これを行う。
4)目に見える汚れがある場合には、石鹸あるいは抗菌性石鹸と流水による手洗いを行う。
5)アルコールに抵抗性のある微生物に考慮して、適宜石鹸と流水もしくは抗菌石鹸と流水による手洗いを追加する。
X-2微生物汚染経路遮断
微生物汚染(以下汚染)経路遮断柵としてアメリカ合衆国疾病予防管理センター(CDC)の標準予防策および、X-7付加的対策で詳述する感染経路別予防策を実施する。
1)血液・体液・・分泌物・排泄物・あるいはそれらによる汚染物などの感染性物質による接触汚染または飛沫汚染を受ける可能性のある場合には、手袋、ガウン、マスクなどの個人防護具(PPE)を適切に配備し、その使用法を正しく認識、遵守する。
2)呼吸器症状のある患者には、咳による飛沫汚染を防止するために、サージカルマスクの着用を要請して、汚染の拡散を防止する。
X-3環境清浄化
患者環境は、常に清潔に維持する。
1)患者環境は質の良い掃除の維持に配慮する。
2)限られたスペースを有効に活用して、清潔と不潔との区別に心がける。
3)流しなどの水場の排水口および湿潤部位などは必ず汚染しているものと考え、水の跳ね返りによる汚染に留意する。
4)床に近い棚(床から30cm以内)に、清潔な器材を保管しない。
5)薬剤/医療器材の長期保存を避ける工夫をする。
6)手が高頻度で接触する部位は1日1回以上清拭または必要に応じて消毒する。
7)床などの水平面は時期を決めた定期清掃を行い、壁やカーテンの垂直面は、汚染が明らかな場合に掃除または洗濯する。
8)蓄尿や尿量測定が不可欠な場合は、汚物室などの湿潤部位の日常的な消毒や衛生管理に配慮する。
9)清掃業務を委託している業者に対して、感染対策に関連する重要な基本知識に関する、清掃員の教育・訓練歴などを確認し、必要に応じて教育、訓練を行う。
X-4交差感染防止
1)易感染患者を保護隔離して病原微生物から保護する。
2)感染リスクの高い易感染患者を個室収容する
3)各種の感染防護用具の対応を容易かつ確実に行う必要があり、感染を伝播する可能性の高い伝染性疾患患者は個室収容、または、集団隔離収容して、感染の拡大を防止する。
4)手術部などの清潔領域への入室時、交差感染防止策として、履物交換、着衣交換などを常時実施する必要性はない。
X-5
消毒薬は、一定のスペクタルを有するものであり、適用対象と対象微生物を十分に考慮して、適正に使用する。
1)生体消毒薬と環境用消毒薬は、区別して使用する。ただし、アルコールは、両者に適用される。
2)生体消毒薬は、皮膚損傷、組織毒性などに留意して適用を考慮する。
3)塩素製剤などを環境に適用する場合は、その副作用に注意し、濃度の高いものを広範囲に使用しない。
4)高水準消毒薬(グルタラール、過酢酸、フタラールなど)は、環境の消毒には使用しない。
5)環境の汚染防止(清浄化)の基本は清掃であり、環境消毒を必要とする場合には、清拭消毒法により汚染箇所に対して行う。
X-6抗菌薬適正使用
抗菌薬は、不適正に用いると、耐性株を生み出したり、耐性株を選択残存させる危険性があるので、対象微生物を考慮し、投与期間は可能な限り短くする。
1)対象微生物と対象臓器の組織内濃度を考慮して適性量を投与する。
2)分離細菌の薬剤感受性検査結果に基づいて抗菌薬を選択する。
3)細菌培養等の検査結果を得る前でも、必要な場合は経験的治療を行われなければならない。
4)必要な応じた血中濃度測定(TDM)により適正かつ効果的投与を行う。
5)特別な例を除いて、1つの抗菌薬を長期間連続使用することは厳に慎まなければならない(数日程度が限界の目安)
6)手術に際しては対象とする臓器内濃度と対象微生物とを考慮して、有効血中濃度を維持するよう投与することが重要である。
7)抗メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)薬、カルバぺネム系抗菌薬などの使用状況を把握し使用に際しては事前に感染担当医に届け出る。
8)バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、MRSA、多剤耐性緑膿菌(MDRP)など特定の多剤耐性菌を保菌していても無症状の症例に対しては、抗菌薬の投与による除菌は行わない。
9)施設内における薬剤感受性パターン(アンチバイオグラム)を把握しておく。合わせて、その地域における薬剤感受性サーベイランスの結果を参照する。
Y.付加的対策
疾病および病期などに応じて感染経路別予防策(空気予防策、飛沫予防策、接触予防策)追加して実施する。
1)空気感染
@麻疹 A水痘 B結核 C重症急性呼吸器症候群(SARS) D抗病原性鳥インフルエンザ Eノロウィルス感染症も状況によっては空気中を介しての感染の可能性あり。
2)飛沫感染
@侵襲性B型インフルエンザ菌感染症(髄膜炎、肺炎、喉頭炎、敗血症)
A侵襲性髄膜炎菌感染症(髄膜炎、肺炎、肺血症)
B重症細菌性呼吸器感染症(ジフテリア、マイコプラズマ肺炎、百日咳、肺ペスト)
Cウィルス感染症(アデノウィルス、インフルエンザウィルス、ムンプス、風疹)
D新興感染症(重症急性呼吸器症候群、膠原病性鳥インフルエンザ)
3)接触感染
@感染症法に基づく特定微生物の胃腸、呼吸器、皮膚、創部の感染症あるいは定着状態
A条件によっては環境で長期生存する菌(MRSA、VRE、MDRP)
B小児におけるウィルス、パラインフルエンザウィルス、ノロウィルス。
C接触感染の強い、あるいは乾燥皮膚に起こりうる皮膚感染症(ジフテリア)、単純ヘルペスウィルス感染症、蜂窩識炎、褥創、疥癬、帯状疱疹等)
D流行性角結膜炎
Eウィルス性出血熱
Z.地域支援
当院に専門がいないため、以下の組織に相談し、支援を求める。
1)感染連携を持つ独立行政人国立病院機構四国がんセンターの専門員に相談する。
2)対策を行っているにもかかわらず、医療関連感染の発生が継続する場合若しくは病院内のみでは対応が困難な場合は、地域支援ネットワークに速やかに相談する。
3)感染対策に関する一般的な質問については、日本感染症学会施設内感染対策相談窓口にFAXで相談を行い、適切な助言を得る。
[.予防接種
予防説種が可能な感染性疾患に対しては、接種率を高めることが最大の制御策である。
@ワクチン接種によって感染が予防できる疾患(B型肝炎、麻疹、水痘、流行性耳下腺炎インフルエンザ)については、適切にワクチン接種を行う。
A患者・医療従事者共に接種率を高める工夫をする。
\.職業感染防止
医療従事者の医療関連感染対策について十分配慮する。
@針刺し防止のためリキャップは原則的に禁止する。
Aリキャップが必要な時は、安全な方法を採用する。
B採血用容器その他を手に持ったまま、血液などの入った針つき注射器を操作しない。
C廃棄専用容器を配置する。
D使用済み注射器(針つきのまま)その他、鋭利な器具専用の安全廃棄容器を用意する。
E安全装置着き器材の導入を考慮する。
Fワクチン接種によって職業感染予防が可能な疾患に対しては、医療従事者が当該ワクチンを接種する体制を確立する。
G感染経路別予防策に即した個人防護具を着用する。
H結核などの空気予防策が必要な患者に接する場合は、N95以上の微粒子マスクを着用する。
].患者への情報提供と説明
患者本人および患者家族に対して、適切なインフォームドコンセントを行う。
@疾病の説明とともに、感染制御の基本についても説明して、理解を得た上で協力を求める。
A必要に応じて感染率などの情報を公開する。
院内感染制御チーム規定
(設置)
第1条 院内感染対策委員会規程第6条に基づき、院内感染対策委員会(以下「委員会」という)のもとに院内感染制御チーム(以下「ICT」という)を置く。
(構成)
第2条ICTは、医師、看護師、臨床検査技師、薬剤師、事務職員で構成する。ICTのリーダーは医師または看護師が行い、リーダーは特に必要と認める職員をICTに加えることができるものとする。
(業務)
第3条ICTの業務は次のとうりとする。
(1)院内感染発生状況の把握
細菌検査および病棟より報告される。院内感染情報の把握と分析を行う。
(2)院内感染対策
週一回各部署のラウンドを行い、院内感染予防の観点から、指摘や改善指導を行う。
(3)院内感染症治療対策
院内発生の感染症に対する治療法の提言、細菌学的な助言や院内感染防止の為の指導を行う。
(4)教育・啓蒙
院内感染対策に関して職員の教育・啓蒙および感染防止マニュアル・ガイドラインの作成を行う。
(5)委員会への報告
実施した諸指導・提言の内容ついて、毎月、委員会へ報告する。
附則 この規定は、平成29年11月6日より改定する。
佐藤実病院
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